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SCOP コラム:第一話 ストリーマーの影響力と広告効果の相関について

SCOP コラム:第一話 ストリーマーの影響力と広告効果の相関について

■ コラム導入

今回からのコラムはSCOP運営から情報発信する一環です。SCOPがどのような理念の上にあるのか、それを裏付ける証拠は何なのかを発信したいと思い、今回から筆を執ります。特に世の中に在る問題を解決し、多くのライブ配信クリエイター:つまりストリーマーを助けるものを届けたいと考えています。

■ 背景

SCOPは第一には個人の自己実現を加速させるサービスです。全てのストリーマーの力になれればと思い、広告サービス・ノウハウ共有・交流場の提供を行っています。
 同時に、SCOPは広告を出稿いただくブランド企業への有効なソリューションであると確信しています。SCOPが大切にしたいストリーマーというメディアが、そういった広告出稿企業にとって良いものであると証明できるよう、SCOPを運営しながら様々なデータを集めています。


一般的に言って、インターネットで何かしらの広告・告知を行いたい企業は、大型インフルエンサーに何かしらの案件を依頼します。ストリーマーの中でも、企業からの依頼が来るのは同時視聴者数が大きい人(= 例えば同時視聴者数が500以上)の人たちに集中している傾向があります。
 しかし、我々は以前から体感的に:

「同時視聴者数が小さいチャンネルはクリック率が高いのではないか?」

という仮説を持っていました。クリック率というのは、特定のチャンネルで広告案件依頼があった際に視聴者がその商品URLをクリックする確率です。広告の世界で「エンゲージメント率」と呼ばれるものです。同時視聴者数が少ないチャンネルは視聴者とストリーマー自身のあいだでの対話が盛んですから、この理屈は直観に合致します。

 これが証明できれば、条件を整えれば、SCOPに参加しているような「同時視聴者数が一桁から100未満」にあたるストリーマーにも、企業が広告案件を依頼する意義があると言えるでしょう。特に、同時視聴者数とクリック率にはどういった法則があるのかを定式化できれば理想的だと考えました。


■ 手法

「同時視聴者数が小さいチャンネルはクリック率が高い」という事象を説明するために、実際に活動しているストリーマーを用いて、以下の実験を行いました:

  • 対象:SCOPに参加しているライブ配信66チャンネル
  • サービス:Twitch
  • 期間:2025年4月10日〜6月8日
  • 条件:SCOP方式の広告を掲載している

※SCOP方式の広告を掲載しているというのは、ライブ配信中にバナーが表示され、且つチャット欄にその出稿ブランドの商品へのURLが一定時間ごとに投稿される。

この期間中にチャンネルごとに以下の数字を計算しました:

  • ライブ配信中の平均同時視聴者数(aveCCU)
  • ライブ配信の合計視聴時間(Hours Watched, HW)
  • 合計ライブ配信時間(Hours Broadcasted, HB)
  • 視聴者が広告URLをクリックした合計回数(Clicks)

視聴者のクリック期待値

このとき、aveCCUは今回測りたい同時視聴者数を表す数字です。また、Clicksは一般的にエンゲージメントとして用いられる数字ですが、今回は Clicks/HW を採用します。この数字は単位視聴者が滞在する単位時間あたりに起こすエンゲージメントの期待値を表現できます。「そのチャンネルで、1視聴者がクリックする可能性」を表すことに適しています。
 この実験結果を、x軸にaveCCUを、y軸に Clicks/HW をとって、チャンネルごとにプロットしたものが以下のグラフです:

プロットした結果、両対数グラフで負の相関が見られました。線形回帰させた直線は、両対数グラフ上で負の傾きがあります。つまり、同時視聴者数が少ないチャンネルほど、1視聴者あたりのクリック期待値が高いという結果が得られました。目論んでいた仮説を裏付けることができました。
 これを数式化しますと、

y = 0.424 x ^ {-0.499}

≒ 0.4 / √x

となりました。(近似する前の式での決定係数は R^2 ≒ 0.697)つまり、Clicks/HW [y] はaveCCU [x] のルートに概ね反比例すると言えます。

チャンネルのクリック期待値

もう一つの視点から分析しましょう。チャンネルを主体に考えます。aveCCUとClicks/HBの対応を見ます。
 広告出稿する企業の都合に立った場合、aveCCU と Clicks/HBとの対応を見る方が良いです。それはClicks/HBが「そのチャンネルが単位時間あたりに何クリックされるか」を表しているからです。広告をチャンネル単位・時間単位で出稿する企業としては、そのチャンネルの単位時間あたりのクリック期待値が知りたいところです。(前者で見た「そのチャンネルに居る単位視聴者あたりのクリック期待値」と比較して)
 では実際に、aveCCU [x] と Clicks/HB [y] の関係を数式化すると、以下のようになりました:

y = 0.0101 * x + 2.11

≒ 0.01 * x + 2

つまり、そのチャンネルの単位時間あたりのクリック数期待値は、同時視聴者数の1/100ほどであると表現できます。
 具体的には、同時視聴者数10,000の大人気インフルエンサーを一人起用するのと同等の商品クリック数を、同時視聴者数100のチャンネル30人ほどで実現できると言えます。
 ただし、近似する前の式での決定係数は R^2 = 0.482 でした。そのため、aveCCU と Clicks/HB の関係はある程度数式化できましたが、前述の aveCCU と Clicks/HW の関係と比較すると網羅し切れていないと言えます。
 また、得られた式は上述の aveCCU と Clicks/HW の関係とは概ね “逆” と言えます。それは根本的に HW = aveCCU * HB という関係にあるからです。この変数同士の関係から、今回の実験で得られた結果が直観・理論に合致すると言えるでしょう。
 こうして、aveCCU(平均同時視聴者数)からクリック数の期待値に関する数式を2つ導出できました。
 我々はこれら2つの数式化は珍しいと認識しており、今回この法則が得られたことを新規性として提案します。環境は限られていますが、今回と似た条件ならばある程度ライブ配信でのインフルエンサーキャンペーンの効果を予測することが可能です。

※2024年10月に、仮説検証のために既に一度似た実験を行いました。その際も同様な結果が得られました。

■ 議論

ここから踏み込んで、何が言えるでしょう?
 SCOPの理念は需要にも供給にも合っているということです。SCOPに参加しているストリーマーは同時視聴者数が一桁から100未満の方も多く、この人たちを宣伝に活用することでブランド企業にもお役立てできます。これが広告の供給の面でのメリットです。
 念の為申し上げますが、これは「同時視聴者数が大きいチャンネルは価値がない」と言いたいわけではなく、「他のチャンネルにも魅力がある」という点を申し上げたいです。この実験結果が普遍的であるならば、同時視聴者数が10ほどのチャンネルにも一定の広告効果があります。しかし現状、ブランド企業が宣伝・案件・広告の際に活用するインフルエンサーは同時視聴者数500以上(目安)の方々に集中しており、同時視聴者数10の人たちのチャンスは皆無と言って良いでしょう。こういった人たちの中から熱意ある人たちを活用できることが、広告の需要の面でのメリットです。
 もし本文をご覧の方で、御社で広告出稿をお考えの方がいらっしゃいましたら、是非ご一考ください。


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